
夜遅い時間帯に食事を摂る習慣は、皮膚の体内時計を混乱させてしまい、日光に含まれる有害な紫外線から肌を守ってくれる酵素のサイクルを乱してしまう可能性が示唆された。
米国テキサス大学オドンネル Jr.脳研究所などによる動物実験から。
この結果を人間にあてはめるには更なる研究が必要だが、可能性として、夜遅くに食事する人は日焼けに弱くなったりするほか、
長期的な影響として皮膚の老化や皮膚がんが考えられる、と研究所長のタカハシ氏は話す。
「この発見には驚きました。皮膚が『私たちがいつ食事するか』を気に留めているなどとは思っていなかったのです」
本研究では、夜行性の動物であるマウスにとって異常な食事時間である昼間にしか食事を与えなかったマウス群が紫外線 B 波(UV-B)を浴びた場合、夜間に食事を与えた群に比べて皮膚のダメージが大きいことがわかった。
これは、紫外線による皮膚ダメージを修復する酵素の時間サイクルがシフトしてしまい、昼間の活性が低くなってしまったことによるという。
「もしあなたの食事時間が正常なら、昼間、紫外線から保護されやすくなっているでしょう。異常な時間帯であるなら、
今回のマウスと同じように皮膚の時計が有害な変化を遂げているかもしれません」とタカハシ氏。
先行研究では、皮膚生物学における身体の概日リズムの大きな役割が示されているが、皮膚の時計をコントロールするものは何か、についてはほとんどわかっていなかった。今回、食事時間を変えると皮膚の遺伝子の約 10%の発現に影響を及ぼす可能性も明らかになった。
出典:Time-Restricted Feeding Shifts the Skin Circadian Clock and Alters UVB-Induced DNA Damage / Cell Reports Volume 20, Issue 5, p1061–1072, 1 August 2017