
現在、パーキンソン病の患者は1000人に1人、60歳以上の方では100人に1人の割合でいるとされています。高齢になればなるほど発症されやすいことから、人口高齢化に伴い発症者数も増えてきています。
パーキンソン病は、特殊なたんぱく質が蓄積しドーパミン神経細胞が減少することが原因と言われていますが、なぜドーパミン神経細胞が減少するのかはわかっておりません。
パーキンソン病の症状には、筋肉のこわばりや震え、動作がうまくいかない、姿勢が維持できないといった運動症状と、頭痛やめまい、頻尿や便秘、嗅覚障害や睡眠障害、そして抑うつ、認知症といった非運動症状まで多岐におよびます。
しかし、投薬治療、生活改善等により病気の進行を遅らせることができるため、早い段階で病気に気づき、治療に取り組むことにより、発症しても長い期間症状が進まない状態を維持することも可能です。
今回は、そのパーキンソン病の症状の一つ、認知症に対して有効性を示唆するある2つの栄養成分についてご紹介します。
その成分は、コエンザイムQ10とクレアチンです。
コエンザイムQ10は、心臓や筋肉などあらゆる細胞のミトコンドリアという物質に存在する、ビタミンに似た物質で、生命活動に必要なエネルギーを生み出すのに欠かせず、同時に強力な抗酸化作用により、細胞を活性酸素やストレスから守るはたらきがあります。
クレアチンは、体内でつくられるアミノ酸の一種で筋肉の収縮時にエネルギーを作り直すという働きがあり、筋肉を維持するうえでは欠かせません。しかし、体内で作られる量は1日に必要なうちの
半分といわれ、残りの半分は外から補う必要があります。また、加齢に伴いクレアチンのつくられる量も減っていくので、筋肉量の低下にも影響します。
パーキンソン病患者のうち、軽度の認知障害がみられる方たちに対し、この2つの成分をそれぞれ100㎎/日、
5g/日を1年~1年半にかけて同時に摂取してもらったところ、2つの成分を摂らなかったグループに比べ、
MoCAスコア※が有意に低くなっていたという結果を得ることができました。
これにより、コエンザイムQ10とクレアチンのパーキンソン病における軽度認知障害の進行に対しての有効性を示唆されました。
パーキンソン病は、ゆっくりと長年にかけて蝕んでいく辛い病気ではありますが、同時に上手く病気と向き合って、治療にのぞむことで今送っている生活の状態を続けることも可能です。これからの研究により医薬品だけではなく栄養成分においても、有効なデータが出てくるかもしれません。
※MoCAスコア:視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識の判断テストから構成されるMCI(軽度認知障害)を判別する検査。
【参考文献】
Li Z, Wang P, Yu Z, Cong Y, Sun H, Zhang J, Zhang J, Sun C, Zhang Y, Ju X.(2015)
“The effect of creatine and coenzyme q10 combination therapy on mild cognitive impairment in Parkinson’s disease.”
Eur Neurol. 2015;73(3-4):205-11. doi: 10.1159/000377676. Epub 2015 Mar 10.
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